朝の睡眠が成績アップのカギ?

自宅近くの公立中へ通う子供の起床時間は、朝6時。部活が7時半から始まる。徒歩3分の近場だから、子供は「眠い」と言って起きず、ギリギリまで寝ている。通学時間1時間の学校へ通う知り合いのお子さんは、朝5時起き。週末も部活があるから、子供も友達も朝は7時に起きる。帰宅時間は6時半、7時と遅く、顔色を悪くしながら、夜は「疲れた」と言ってあくびをする毎日だ。ふらふらしながら、毎日を送っているのは、わが子だけではないと思う。

一方、米国東部に暮らす同じ中学生の姪や彼女の友達たちは、部活動があっても、学校が午後3、4時に終わって、一回帰宅して夕食を食べてから、部活へ向かう。日本ではほぼ毎日部活がある、と言うと、彼女たちは「選手にでもなるの?」と驚く。米国の中学生は週1回の活動日+週末の試合で、休息の時間がある。それに、一つのスポーツだけでなく、ほかのスポーツやその他の活動ができる時間が持てる。夜は遅くとも10時にはベッドに就き、朝は7時に起床(スクールバスに間に合う時間)、とても体にストレスフリーな生活を送っている。

(州や都市によって、また、プロを目指す場合は、生活スタイルは違うかもしれませんが)

 

こんな体に良い学校生活を送っていても、米国小児科学会は、中学校・高校の始業時間が7時半、あるいは8時は早すぎる。子供の心と脳の成長には、始業時間を遅らせて、少しでも睡眠時間を確保するべきだ」と提唱している。それを受け、様々な大学が2018 年以降、学校の始業時間を遅らせて、朝の睡眠時間を少しでも確保した場合の、子供たちの学校での成績や態度をモニター調査した。その結果、中学校の始業時間を8時半、高校の始業時間を8時にして、朝の睡眠34分を確保できると、子供の成績が4.5%向上し、授業態度が改善し、精神面でも安定が見られたことが明らかになったと相次いで発表した。

学校の始業時間を遅くするのでなく、子供が早く寝れば済むことだ、と大人は考えるはず。私も含め、親は、体のためにも子供に「夜10時に寝てほしい」と思いますよね。

ところが、大学教授いわく、思春期の子供は体内時計が変化するため夜の10時には眠ることができない。子供に朝7時半に目覚め、活動を強いることは、大人に、朝5時半に目覚め、活動をしろというのと同じことなのだそうだ。夜早く眠ることができない代わりに、朝34分の睡眠を確保することが、子供の成長に不可欠になると、大学研究チームは結論付けた。

学校の始業時間が遅くなれば、子供の就寝時間が遅くなるのでは?と、親の次なる疑問が浮かぶ。もちろん、そうした点も実験して、子供の就寝時間は規則正しく変わらなかったという結果が出たそうだ。

ワシントン州シアトルやカリフォルニア州が、調査結果を受けて、中学校の始業時間を8時半に、高校の始業時間を8時に義務化した。ほかの州でも同じ傾向になっていくといわれている。

朝の睡眠時間を34分確保できるだけで、子供の生活の質が変わる。すごい調査結果ですよね。そして、調査結果を受けて、州政府が法制化する。この素早い対応は、米国ならではか?

 

わが子には、小学学生の時と同じように、夜10時に寝たほうがいいと言っているが、わが子は「眠れない」と言って、どんどんと寝る時間が遅くなっている。そして、起きる時間は以前よりも早い。その理由も、米記事を読んで、生物学上仕方がないことなのね、と納得した。ただ、日本の中学や高校は忙しすぎる。子供を過労が当たり前と思う大人に教育しようとしているのかしら。日本でも、睡眠と学校の始業時間の相関関係を本格的に調査して、少しでも、子供の睡眠時間を確保できる環境になるとよいですよね。心からそう願います。

 

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