シンガポールの英語教育って?

世界72カ国の英語能力を調査した「英語能力指数(EE EPI)」2016年度の最新データによると、日本は、能力レベルが低い、世界35位に判定された。EE EPIのサンプルは主に労働年齢の成人、学生や社会人が中心。日本は、世界5位のシンガポール、12位のマレーシア、27位韓国、30位香港、33位台湾より、低い結果になった。また、TOEFLインターネットテストの2015年度国別比較では、日本の結果は目をつぶりたくなるような最悪レベル。アジア35カ国中、日本は総合得点71点と、タジキスタンラオスアフガニスタンに続く、最下位グループ入りになった。

世界5位のシンガポールと日本は、何が違うのか? 一つは教育予算だ。

日本の教育予算は、全予算のうち9.6%と圧倒的に低い。アジア1位のシンガポールの場合は、20%が教育予算になっている。シンガポールは、人材確保と人材育成が都市国家の生存に必要不可欠と考え、教育に国家予算を大幅に割いている。また、経済のみならず、教育でもアジア、さらに世界をリードすることを国家戦略に据えて教育プログラムを導入しており、その成果が国際的な学力テスト(例えばPISA)で表れている。超高齢化社会を迎えている日本は、未来の日本を担う子供たちを育成するための教育に財源を回す必要があるのに、これからどうなるのだろう?と不安を感じざるを得ない。

そして、二つ目は、英語教育政策だ。シンガポールでは、国家戦略として英語教育は必要不可欠なものとみなし、2010年から全土の公立学校にSTELLERと呼ばれる(Strategies for English Language Learning And Reading)英語教育プログラムを導入し、実施している。従来の英語プログラムと違って、自分の考えをまとめ、はっきりと自信をもってその考えを伝える、コミュニケーション能力の習得に重点を置いている。英語教材は使用しないし、慣用句や語句を暗記することもしない。日常的に見る広告や新聞を利用して、生徒が自分の考えをまとめ、物語を作り、発言する手法なのだそうだ。STELLERによって、子供たちが人前で発言することに抵抗を持たなくなり、もっとわからない点や疑問点について質問するようになるなど、学習態度に変化が表れたそうだ。英語能力テストでもわかるように、STELLER効果なのかもしれない。日本も英語教育改革の提言で、コミュニケーション能力の向上に重点を置いていることは同じだ。どのように学校で実現していくのか、そのコンテンツが気になるところだ。

参考:

http://www.efjapan.co.jp/epi/compare/regions/jp/sg/

https://www.ets.org/s/toefl/pdf/94227_unlweb.pdf

http://www.straitstimes.com/singapore/education/stellar-method-to-develop-language-use-and-confidence

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/houkoku/attach/1352464.htm