NOホームワーク? 米国の小学校事情

都内の公立小学校、それも宿題量が多いことで有名な学校に通う4年生のわが息子の宿題の量が年々減っているのでは、と心配になっている。この学年から塾に通う子供たちがぐんと増えるからなのか、所要時間約1時間から今や30分程度の量になっているのは、仕方がないことなのだろうか。

宿題の量について心配する保護者は、日本だけではないようだ。米国でも9月の新学期を迎えて、学校の宿題はないほうが子供の教育にとってプラスになるのか、それとも従来通り宿題は1学年ごとに一日10分増やしていく「一日10分間」方式が子供の学業に好影響を与えるのか、議論が巻き起こっている。

米国の公立小学校ではこの数十年間、子供の成績向上に効果があるとされる「一日10分間ルール」が、全国の基準として推奨されている。1日10分間ルールとは、小1年時の宿題は夜の10分間で済む量を出し、学年が上がる毎に宿題にかかる所要時間が10分間増えていく方式だ。5、6年生になると、1日2時間費やさないと終わらない量になる。PTAと教育委員会もこのルールを承認している。

米教育関係者や研究者の中には、宿題が小学生の成績に好影響を及ぼすとする相関関係は立証されていないとして、「10分間ルール」に苦言を呈す者もいる。全米の中でも、ニューヨーク州の一部の学区では、2015年度から宿題なしの方針を決定している。もちろん、この決定に抗議する保護者も少なからずいたようだ。また、マサチューセッツ州の一部の学区では9月の新学期からパイロット試験として、学校の授業時間を2時間延長する代わりに宿題を取り止めた。その理由は、4時に帰宅した子供たちがスポーツを楽しみ、家族との団らんの時間を持ったほうが健全に成長するからだという。1970年代から子供の宿題を巡る議論が浮上し、白黒つけることもできなかった。国際競争力を身に付ける教育方針が叫ばれた1990年代は宿題ありに傾いていたが、今ここに来て、宿題なしの傾向に向かっているというのが専門家の見解だ。

マサチューセッツ州の公立学校に通う私の4年生の姪は、毎日学校の宿題が10分間あると言っているが、その代わり3カ月間の夏休みや2週間の冬休みは、まったく宿題がない。とにかくよく外で遊び、スポーツをしている。その姿を見ると、わが息子にももっと体を動かしてほしいと願う一方で、宿題がないと勉強が遅れるのではという不安も感じる。宿題は本当に子供の成績につながるのか? 誰か答えを知っていれば教えてほしいものだ。

(参考:米タイム誌の8月号)